ホームページが古くなってきたとき、「そろそろリニューアルした方がよいのでは」と考えることがあります。

しかし、ホームページの課題は、必ずしも全面的なリニューアルでなければ解決できないわけではありません。

現在のコンテンツを維持したままデザインを変更する方法もあれば、問い合わせにつながっていない部分だけを改善する方法もあります。一方で、事業内容とホームページの内容が合っていない場合は、部分的な修正を重ねるより、全体を作り直した方がよいこともあります。

判断する際に重要なのは、「古く見えるか」だけではなく、現在のホームページが事業上の目的を果たせているかを確認することです。

ホームページの見直し方は3つに分けられる

ホームページを見直す方法は、大きく次の3つに分けられます。

  • コンテンツを維持してデザインを変更する
  • 課題のある部分だけを改善する
  • 構成やシステムを含めて全面的にリニューアルする

どの方法が適しているかは、デザインの新しさだけでは決まりません。

現在の事業内容、検索からの流入、問い合わせ状況、更新のしやすさ、使用しているシステムなどを確認したうえで判断します。

デザインを変えるリニューアルにも意味がある

デザインを変更すること自体が悪いわけではありません。

企業やサービスのイメージを見直したい場合や、現在のデザインが事業の方向性と合わなくなっている場合は、デザインの刷新が重要な施策になります。

例えば、次のようなケースです。

  • ブランドやサービスの印象を変えたい
  • 企業としての信頼感を高めたい
  • 写真や実績を分かりやすく見せたい
  • 情報の優先順位を整理したい
  • スマートフォンで読みにくい状態を改善したい
  • デザインのルールを統一したい

ホームページの内容自体に大きな問題がなければ、文章やページ構成を維持しながら、レイアウト、配色、書体、写真、ナビゲーションなどを見直す方法があります。

これにより、既存の情報や検索流入をできるだけ維持しながら、見た目と使いやすさを改善できます。

ただし、デザインだけを変更する場合でも、パソコンとスマートフォンだけを確認すれば十分とは限りません。

現在は、小型のスマートフォン、大画面端末、タブレット、折りたたみ端末など、さまざまな画面サイズでホームページが閲覧されます。そのため、特定の端末幅だけに合わせるのではなく、画面幅に応じて柔軟に表示が変わる設計が必要です。

レスポンシブデザインの考え方については、MDN「レスポンシブウェブデザイン」でも、異なる画面サイズや解像度に対応するための設計手法として解説されています。

「なんとなく格好よくしたい」場合は目的を整理する

実際の相談では、「デザインを新しくしたい」「もう少し格好よくしたい」という要望から検討が始まることがあります。

もちろん、企業やサービスの印象を整えることには意味があります。ただし、デザインを変更する目的や解決したい問題が曖昧なままでは、かけた費用に対して効果を判断できません。

まずは、現在のホームページで何が起きているのかを確認します。

  • 検索から人が来ていない
  • アクセスはあるが問い合わせにつながっていない
  • サービスページがほとんど読まれていない
  • 問い合わせボタンが押されていない
  • スマートフォンで操作しにくい
  • 事業内容や強みが伝わっていない
  • 更新したいのに社内で更新できない

課題が特定のページや導線に限られている場合は、フルリニューアルより部分改善の方が適している可能性があります。

集客できていない場合は検索状況を確認する

ホームページへの流入が少ない場合は、最初に検索結果でどのように表示されているかを確認します。

まず切り分けたいのは、次の2つです。

社名やサービス名で検索しても表示されない

社名、店舗名、サービス名などの固有名称で検索してもホームページが見つからない場合は、ページが検索エンジンに登録されていない可能性があります。

この場合は、デザインより先に次のような項目を確認します。

  • ページがGoogleに登録されているか
  • 検索を拒否する設定が残っていないか
  • 正規URLの指定に問題がないか
  • サイト内からページへリンクされているか
  • サイトマップが送信されているか
  • ページを正常に読み込めるか

技術的な設定が原因であれば、全面的に作り直さなくても解決できる場合があります。

社名では表示されるが、一般的な検索から流入がない

社名では表示されるものの、見込み客が使用する検索語句から流入していない場合は、SEOやコンテンツの問題を確認します。

例えば、サービス内容、対応地域、依頼できる範囲、料金の考え方、よくある悩みなど、発注を検討している人が知りたい情報が不足している可能性があります。

この場合、デザインを全面的に変更しても、検索される情報が増えなければ流入改善にはつながりにくいでしょう。

既存サイトの構造に大きな問題がなければ、サービスページの見直しや記事の追加など、コンテンツを中心とした改善から始められます。

流入はあるが問い合わせにつながっていない場合

アクセスがあるにもかかわらず問い合わせが少ない場合は、訪問者がどこで離脱しているかを確認します。

実務では、検索流入の不足と問い合わせ導線の問題が混同されているケースがあります。しかし、この2つは分けて考える必要があります。

確認する順番は次のとおりです。

  1. どのような検索語句で訪問しているか
  2. 最初にどのページへ到着しているか
  3. サービスページまで移動しているか
  4. 問い合わせボタンが押されているか
  5. 問い合わせフォームが正常に送信できるか

検索語句とページの内容が合っていなければ、アクセスが増えても問い合わせにはつながりません。

また、サービスに関心を持っても、対応範囲、実績、進め方、費用の考え方などが分からなければ、相談をためらう可能性があります。

この場合は、次のような部分改善を検討します。

  • 検索意図に合わせてページの内容を見直す
  • サービスの対象者や対応範囲を明確にする
  • 実績や支援内容を追加する
  • 関連するページ同士を内部リンクでつなぐ
  • 問い合わせボタンの位置や文言を見直す
  • フォームの項目数や入力方法を改善する
  • スマートフォンでの操作を確認する

検索前の状態はSearch Console、ホームページ訪問後の行動はGoogle Analyticsなどで確認できます。両者の役割については、Google検索セントラル「Search ConsoleとGoogleアナリティクスのデータをSEOに使用する」で説明されています。

事業内容が現在の実態と合っていない場合はフルリニューアルを検討する

部分改善よりも、フルリニューアルが適しているケースもあります。

代表的なのは、ホームページに掲載されている内容と、現在の事業内容が大きく異なっている場合です。

  • 主力事業やサービスが変わった
  • 顧客層や商圏が変わった
  • 企業として伝えたい価値が変わった
  • 古いサービスが多数掲載されたままになっている
  • サービスの分類やページ構成が実態と合っていない
  • 採用、営業、問い合わせなど、サイトの目的が変わった
  • 使用しているCMSでは今後の更新に対応できない
  • 部分修正を重ねた結果、デザインや構造が統一されていない

このような状態では、一部の文章や画像を差し替えるだけでは、情報全体の整合性を取りにくくなります。

ページ構成、導線、デザイン、更新方法を現在の事業に合わせて再設計した方が、公開後も運用しやすくなります。

部分改修が多い場合はリニューアルとの費用を比較する

部分改修は、必要な箇所だけを変更できるため、比較的小さく始められる方法です。

一方で、修正箇所が増えるほど、既存の設計へ合わせるための調査や調整も増えていきます。

例えば、次のような項目を同時に変更する場合です。

  • ヘッダーやメニュー
  • 複数のサービスページ
  • スマートフォン表示
  • 問い合わせフォーム
  • CMSの入力項目
  • URLやカテゴリー構成
  • サイト全体のデザインルール
  • 外部サービスとの連携
  • 古いプログラムやライブラリ

一つひとつは部分改修でも、サイト全体へ影響する項目が多ければ、結果的にフルリニューアルに近い作業量になることがあります。

そのため、「何か所修正するか」だけでなく、修正がどの範囲に影響するかを確認する必要があります。

部分改修を積み重ねた場合の費用と、最初から全体を再設計した場合の費用を比較し、今後の運用も含めて判断するのが現実的です。

リニューアル前に既存の流入状況を確認する

フルリニューアルを行う場合に注意したいのが、既存ページの削除やURL変更です。

見た目には古いページでも、検索から継続的にアクセスされていたり、問い合わせの入口になっていたりすることがあります。

アクセス状況を確認しないままページを削除すると、リニューアル後に検索流入が減少する可能性があります。

着手前に、少なくとも次の情報を整理します。

  • 現在公開されているURLの一覧
  • 検索結果で表示されているページ
  • ページごとの表示回数とクリック数
  • 流入につながっている検索語句
  • よく閲覧されているページ
  • 問い合わせにつながっているページ
  • 外部サイトからリンクされているページ
  • 削除、統合、継続するページの区分

既存ページを引き継げる場合は、可能な範囲でURLを維持します。

URLを変更する場合は、旧URLと新URLの対応表を作り、恒久的なリダイレクトを設定します。ページを削除する場合も、内容を引き継ぐページがあるなら適切な移転先を指定します。

Googleも、URLを変更するサイト移行では、旧URLと新URLの対応を整理し、恒久的なサーバー側リダイレクトを使用する方法を案内しています。詳しくはGoogle検索セントラル「サイト移転とURL変更」を確認してください。

デザイン変更が向いているケース

次の条件に当てはまる場合は、コンテンツを維持したデザイン変更を検討できます。

  • 掲載内容は現在の事業と合っている
  • 検索から一定の流入がある
  • ページ構成に大きな問題がない
  • 企業やサービスの印象を刷新したい
  • スマートフォン対応を見直したい
  • デザインの統一感を高めたい
  • URLやコンテンツをできるだけ維持したい

部分改善が向いているケース

次のような場合は、課題のある箇所から部分的に改善できます。

  • 特定のページだけ内容が不足している
  • 検索流入を増やしたい
  • アクセスはあるが問い合わせにつながっていない
  • 問い合わせ導線を改善したい
  • フォームに不具合や使いにくさがある
  • 一部のスマートフォン表示に問題がある
  • 現在のサイトを維持しながら改善したい

現在の制作会社から別の会社へ保守や改修を引き継ぐ場合は、他社が制作したホームページでも保守を依頼できる?も参考にしてください。

フルリニューアルが向いているケース

次のような場合は、サイト全体の再設計を検討します。

  • 事業内容と掲載内容が大きく異なっている
  • 顧客層やホームページの目的が変わった
  • ページ構成が複雑で必要な情報を探しにくい
  • 部分改修が多数必要になる
  • CMSやシステムが今後の運用に適していない
  • 古い実装が改修の妨げになっている
  • デザイン、構成、更新環境をまとめて見直したい

制作会社の変更とリニューアルを同時に検討している場合は、ホームページ制作会社を変更する方法もあわせて確認してください。

まとめ

ホームページのデザインを変えることには、企業やサービスの印象を刷新し、さまざまな端末での使いやすさを改善する意味があります。

一方で、目的が「なんとなく格好よくしたい」だけであれば、全面的なリニューアルが必要とは限りません。

まずは、現在のホームページについて次の点を確認します。

  • 検索から流入しているか
  • どのような検索語句で訪問されているか
  • 流入が問い合わせにつながっているか
  • 掲載内容が現在の事業と合っているか
  • 改善が必要な範囲は限定的か
  • 部分改修を重ねる方が割高にならないか

現在のコンテンツを維持してデザインを変えるのか、課題のある部分だけを改善するのか、全体をリニューアルするのか。先に現状を確認することで、目的に合った方法を選びやすくなります。

ホームページの状況を確認したうえで、部分改善とリニューアルのどちらが適しているか整理したい場合は、制作・改善についてご相談ください。