ホームページを公開したものの、問い合わせが来ない。更新もほとんどできておらず、何から改善すればよいか分からない。
このような状態で、すぐに全面リニューアルやブログの大量更新を始める必要はありません。
まず確認したいのは、現在のホームページが次の流れを作れているかです。
- 見込み客に見つけてもらう
- 事業やサービスを理解してもらう
- 比較・検討に必要な情報を提供する
- 問い合わせや予約などの行動につなげる
ホームページを活用するとは、単にアクセス数を増やすことではありません。
事業上の目的を決め、訪問者が目的の行動へ進める状態をつくり、その結果を確認しながら改善することです。
ホームページを活用するには
ホームページを活用するには、「誰に見てもらい、何を伝え、どの行動につなげるか」を最初に整理します。
企業のホームページには、さまざまな役割があります。
- 新規の問い合わせを獲得する
- 見積もりや相談を受け付ける
- 商品を販売する
- 店舗への来店や予約につなげる
- 採用応募を増やす
- 既存顧客へ情報を提供する
- 営業担当者が説明に使用する
- 企業やサービスへの信頼を高める
例えば、問い合わせの獲得が目的なら、訪問者数だけを見ても成果は判断できません。
サービスページが閲覧されているか、問い合わせボタンが押されているか、フォームが正常に送信されているか、実際に商談につながっているかまで確認する必要があります。
サイト全体に複数の目的があっても問題ありません。ただし、各ページで訪問者に取ってほしい行動は明確にしておきます。
1. 改善前に管理状況を確認する
ホームページを改善する前に、安全に変更できる状態か確認します。
- ドメインの契約先と名義が分かる
- サーバーや公開環境を把握している
- CMSの管理者権限がある
- 制作データやソースコードを確認できる
- 更新前にバックアップを取得できる
- 問い合わせフォームが正常に動作している
- Google Search Consoleを確認できる
- Google Analyticsなどのアクセス解析を確認できる
管理情報が分からないまま改修を始めると、サイトを更新できない、元の状態へ戻せない、メールや問い合わせフォームへ影響が出るといった問題につながる可能性があります。
ドメインやサーバーの契約先が不明な場合は、ドメイン・サーバーの管理会社が分からないときの確認方法も参考にしてください。
現在の制作会社から別の会社へ管理を移す場合は、ホームページ制作会社を変更する方法で、必要な情報と進め方を確認できます。
2. 検索前と訪問後を分けて確認する
ホームページが機能していない原因を調べるときは、検索結果に表示されるまでと、訪問された後を分けて考えます。
Google Search Consoleでは、Google検索における表示回数、クリック数、クリック率、検索語句、表示されたページなどを確認できます。
Google Analyticsでは、訪問されたページ、流入元、サイト内で取られた行動などを確認できます。
Googleも、Search Consoleは検索結果からサイトへ到達するまで、Google Analyticsはサイトへ訪問した後の行動を把握するためのデータとして説明しています。
参考:Search ConsoleとGoogleアナリティクスのデータをSEOに使用する
なお、Search Consoleのクリック数とGoogle Analyticsのセッション数は計測方法が異なるため、完全には一致しません。
数字を一致させることより、同じ条件で継続的に確認し、変化の傾向を把握することが重要です。
3. 最初に社名やサービス名で検索する
検索からの流入を増やす前に、社名、店舗名、サービス名などで自社サイトが表示されるか確認します。
固有の名称で検索しても表示されない場合は、認知施策やSEO記事を増やす前に、検索エンジンへ正しく登録されているか確認する必要があります。
- 検索エンジンへの登録を拒否する設定がないか
- ページを正常に読み込めるか
- 正規URLが適切に指定されているか
- サイト内から対象ページへ移動できるか
- サイトマップが送信されているか
- 古いURLへ転送されていないか
技術的な設定が原因であれば、ホームページを全面的に作り直さなくても解決できる場合があります。
社名やサービス名で自社サイトが正常に表示されることを確認してから、指名検索の状況や、それ以外の検索からの流入を確認します。
4. 指名検索の状況から取るべき戦略を考える
指名検索とは、会社名、店舗名、サービス名、商品名、代表者名など、特定の企業やサービスを指定して行われる検索です。
指名検索の増減は、自社サイトのSEOだけで決まるものではありません。
- 営業活動
- SNSでの発信
- Web広告
- 展示会やセミナー
- プレスリリースやメディア掲載
- 店舗や看板
- 既存顧客からの紹介
- 口コミ
- 名刺やパンフレット
こうした自社サイト以外での接点によって企業やサービスが認知され、その後に会社名やサービス名で検索されることがあります。
制作・運用の実務でも、広告、広報、営業などの活動を行った後に、指名検索が増えることがあります。
そのため、指名検索の増加をSEOだけの成果として判断するのではなく、同じ時期に実施した施策とあわせて確認します。
なお、Search Consoleで確認できるのは、自社サイトがGoogle検索で表示・クリックされた実績です。世の中全体で行われた指名検索の総数ではないため、絶対的な検索数ではなく、継続的な変化を見るために使用します。
指名検索が少ない場合は認知を広げる
会社名やサービス名での検索が少ない場合、自社サイトの改善だけでは十分でない可能性があります。
会社やサービスを知られていない状態では、名前で検索するきっかけがありません。
この場合は、SEO記事だけでなく、次のような認知施策を検討します。
- 営業活動や既存顧客への案内
- SNSでの継続的な情報発信
- Web広告
- 展示会やセミナー
- プレスリリースやメディア掲載
- 店舗、看板、チラシ、名刺
- 顧客からの紹介や口コミ
重要なのは、会社名を覚えてもらうことだけではありません。「何を依頼できる会社なのか」と会社名を結び付けて認知してもらう必要があります。
指名検索はあるが問い合わせにつながらない場合は受け皿を改善する
指名検索が発生しているのに問い合わせにつながっていない場合は、認知よりも自社サイトの内容や導線に課題がある可能性があります。
- 公式サイトであることが分かりにくい
- 現在の事業内容が掲載されていない
- 何を依頼できるか分からない
- 実績や費用、進め方が不足している
- 問い合わせ方法が分かりにくい
- 問い合わせフォームが正常に動作していない
この場合は、新しい集客施策を増やす前に、指名検索で訪れた人を受け止められる状態へ整えます。
トップページ、サービスページ、実績、会社情報、問い合わせ導線を優先して確認します。
会社を知らない人にも見つけてもらう場合は検索テーマを広げる
指名検索は、すでに会社やサービスを知っている人による検索です。
新しい見込み客との接点を増やすには、会社名だけでなく、サービス、地域、悩み、依頼内容に関する検索でも見つけてもらう必要があります。
例えば、Webサイトに困っている発注者であれば、次のように検索する可能性があります。
- ホームページから問い合わせが来ない
- 他社制作のホームページを保守してほしい
- ホームページ制作会社を変更したい
- ドメインの管理会社が分からない
- 古いホームページを改善したい
このような検索に対応するには、見込み客の悩みや目的ごとに、サービスページや記事を用意します。
ただし、似た検索語句ごとに内容の薄い記事を量産するのではなく、一つの記事でどの疑問に答えるのかを明確にすることが重要です。
ホームページの役割に合わせて戦略を選ぶ
指名検索が少ないなら、認知を広げる施策を検討します。
指名検索はあるものの問い合わせが少ないなら、自社サイトの情報や導線を改善します。
既存顧客や紹介からの依頼が中心で、新しい顧客との接点を増やしたいなら、サービス、地域、顧客の悩みに関する検索への対応を増やします。
一方、営業担当者が商談相手へ見せることを主な目的としている場合は、検索流入を増やすより、実績やサービス情報を充実させる方が優先されることもあります。
ホームページの役割によって、SEO、広告、広報、営業、自社サイト改善のどれを優先すべきかは変わります。
5. 検索結果に表示されているがクリックされていない場合
検索結果での表示回数はあるもののクリック数が少ない場合は、検索語句とページの内容が合っているか確認します。
Google Search Consoleの検索パフォーマンスレポートでは、検索語句ごとに表示回数、クリック数、クリック率などを確認できます。
参考:Google Search Console「検索パフォーマンスレポート」
確認する主な項目は次のとおりです。
- 検索語句とページの内容が一致しているか
- ページタイトルから内容を判断できるか
- 古い情報が検索結果に表示されていないか
- 対象者や対応内容が明確になっているか
- 同じような内容のページが複数存在していないか
検索順位だけで判断せず、どのような検索意図に対して、どのページが表示されているかを確認します。
6. 訪問されているがサービス内容が伝わっていない場合
アクセスはあるものの、サービスページが読まれていない場合は、記事やトップページからの導線を確認します。
制作・運用の実務では、記事へのアクセスは増えていても、運営企業やサービス内容が分からず、そのまま離脱されているケースがあります。
集客用の記事だけを増やすのではなく、訪問者が次に確認したい情報を用意することが重要です。
- 何を依頼できるか
- どのような企業や課題が対象か
- 対応できる範囲
- 依頼から開始までの流れ
- 費用が決まる条件
- 過去の支援内容や実績
- 依頼前によくある質問
- 問い合わせ後の対応
サービスページへのリンクも、文章の最後だけでなく、訪問者が詳しい情報を必要とする場所に設置します。
7. 大量の記事より先に基本コンテンツを整える
ホームページを活用するために、必ずしも大量の記事が必要なわけではありません。
まず、発注を検討する人が判断するための基本情報を整えます。
サービスページ
サービスの名称だけでなく、対象者、対応範囲、進め方、成果物、対応できないことを明確にします。
制作事例や支援事例
完成したデザインだけでなく、相談前の状況、課題、対応内容、判断した理由、公開後の運用まで説明します。
公開できる数値がない場合に、推測した成果を掲載してはいけません。確認できる事実と、依頼者の許可を得た情報だけを使用します。
費用の考え方
固定料金を掲載できない場合でも、費用を左右する条件や、見積もりに含まれる範囲を説明できます。
制作や支援の流れ
問い合わせ後に何が行われるのかを示します。
相談、調査、提案、契約、制作、公開、運用などの流れが分かると、依頼を検討しやすくなります。
よくある質問
営業や打ち合わせで繰り返し聞かれる質問は、ホームページでも回答します。
実際の顧客から寄せられる質問は、検索する人の疑問に近く、コンテンツを考えるうえで重要な材料になります。
Googleも、検索順位だけを目的にコンテンツを作るのではなく、想定する読者にとって役立つ情報や、実際の経験・専門性が伝わる内容を重視するよう案内しています。
参考:Google検索セントラル「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」
8. 集客方法は顧客との接点に合わせて選ぶ
ホームページへの入口はSEOだけではありません。
- Googleなどの自然検索
- Googleマップなどの地域検索
- Web広告
- SNS
- メールマガジン
- 他のWebサイトからの紹介
- 営業資料や名刺
- セミナーや展示会
- 既存顧客からの紹介
どの方法が適しているかは、事業内容、商圏、検討期間、顧客との接点によって異なります。
地域で店舗や事業者を探す顧客が多いなら、地域情報とサービス内容を整えます。
今すぐ依頼先を探している顧客へ届けたい場合は、検索広告が選択肢になります。
比較や検討に時間がかかるサービスでは、SEO記事、事例、メール、SNSなどを組み合わせ、複数回の接点をつくる方法があります。
複数の施策を同時に始めると、どの施策が成果につながったか判断しにくくなることがあります。
最初は、顧客と接点を持ちやすい方法を選び、流入先となるページと測定方法をセットで用意します。
9. 問い合わせまでの導線を確認する
アクセスがあっても、次に何をすればよいか分からなければ問い合わせにはつながりません。
ページごとに、訪問者の状況に合った次の行動を用意します。
- サービスの詳細を見る
- 制作事例を確認する
- 費用の考え方を確認する
- よくある質問を読む
- 資料をダウンロードする
- 見積もりを依頼する
- 相談する
- 電話や予約フォームへ進む
すべてのページで、すぐに問い合わせを求める必要はありません。
情報収集の段階にいる人には、関連するサービスや事例への案内が適しています。具体的に依頼を検討している人には、問い合わせ方法と、その後の流れを分かりやすく示します。
問い合わせフォームでは、次の点を確認します。
- 正常に送信できる
- 送信後に完了画面が表示される
- 運営側へ通知が届く
- 自動返信メールが利用者へ届く
- スマートフォンで入力できる
- 必須項目が多すぎない
- エラー内容が分かる
- 個人情報の取り扱いを確認できる
フォームが設置されているだけでなく、実際に送信して確認することが重要です。
10. 問い合わせを計測できる状態にする
問い合わせフォームが正常に動作していても、送信完了を計測していなければ、どのページや流入経路が成果につながったか判断できません。
Google Analyticsでは、問い合わせ完了など、事業上重要な行動を「キーイベント」として設定できます。
参考:Google Analytics「キーイベントを測定する方法」
問い合わせ数だけでなく、必要に応じて次の行動も確認します。
- サービスページの閲覧
- 事例ページの閲覧
- 問い合わせボタンのクリック
- 電話番号のタップ
- フォームへの到達
- フォームの送信完了
- 資料のダウンロード
- 予約の完了
ただし、計測項目を増やしすぎると、何を判断するための数字なのか分からなくなります。
最初は、ホームページの目的に直接関係する行動から設定します。
11. 毎月確認する項目を決める
ホームページは、同じ条件で定期的に確認し、変化の理由を考えることが重要です。
問い合わせ獲得を目的とする企業サイトなら、次のような項目を確認します。
- 指名検索の表示回数とクリック数
- 顧客の課題やサービスに関する検索語句
- 検索結果全体での表示回数
- 検索結果からのクリック数
- 最初に閲覧されたページ
- サービスページの閲覧状況
- 問い合わせボタンのクリック数
- フォームの送信完了数
- 実際に商談につながった問い合わせ数
アクセス数だけで判断せず、認知、検索、訪問、ページ閲覧、問い合わせ、商談までをつなげて確認します。
季節性のある事業では、前月だけでなく前年の同時期とも比較します。
サイトを更新した日、広告を開始した日、展示会へ参加した日、メディアへ掲載された日なども記録しておくと、指名検索やアクセスが変化した理由を判断しやすくなります。
改善の優先順位を決める
ホームページの問題を一度にすべて解決しようとすると、費用も確認範囲も大きくなります。
制作・運用の実務では、次の順番で対応を検討します。
- サイトや問い合わせフォームの不具合
- ドメイン、サーバー、CMSなどの管理上の問題
- 計測できていない状態
- 現在の事業内容と異なる情報
- 問い合わせを妨げている導線
- 不足しているサービス情報
- 検索、広告、広報などの集客施策
- デザインや機能の追加改善
フォームが動いていない状態でアクセスだけを増やしても、問い合わせを受け取れません。
サービス内容が古いままSEO記事を増やしても、訪問者へ正しい情報を伝えられません。
まず成果を妨げている問題を解消し、その後に集客施策を進めます。
部分改善とリニューアルを使い分ける
現在の事業内容、ページ構成、CMSに大きな問題がなければ、必要な箇所から部分的に改善できます。
- サービスページを追加する
- 実績や事例を掲載する
- 問い合わせ導線を見直す
- フォームを修正する
- 計測環境を整える
- SEO記事を追加する
- スマートフォン表示を改善する
一方で、事業内容や顧客層が変わっている場合、サイト全体の構成が複雑になっている場合、部分改修が多数必要な場合は、リニューアルを検討します。
重要なのは、最初からリニューアルを前提にすることではありません。
現在の状態と改善目的を整理し、部分改善を積み重ねる場合と、全体を作り直す場合の費用、期間、今後の運用を比較して判断します。
ホームページを継続して活用するために
ホームページの活用は、記事やアクセス数を増やすことだけではありません。
「見つけてもらう」「内容を理解してもらう」「比較・検討してもらう」「行動してもらう」という流れをつくり、どこで止まっているかを確認しながら改善することが重要です。
最初に確認したいのは、次の7点です。
- ホームページの目的が決まっているか
- 管理・更新できる状態か
- 検索とアクセスを計測できるか
- 現在の事業内容が正しく掲載されているか
- 顧客が判断するための情報が揃っているか
- 問い合わせまでの導線が機能しているか
- 定期的に確認し、改善する担当者が決まっているか
そのうえで、指名検索が少ないなら認知を広げる。指名検索はあるが問い合わせにつながっていないなら、自社サイトの受け皿を改善する。新しい見込み客との接点を増やしたいなら、サービス、地域、顧客の課題に関する検索へ対応する。
現在の状況を分けて考えることで、SEO、広告、広報、営業、サイト改善のうち、何を優先すべきか判断しやすくなります。
他社が制作したホームページでも、管理権限やサイトの構成を確認できれば、保守や改善を別の会社へ依頼できる場合があります。
詳しくは、他社が制作したホームページでも保守を依頼できる?をご覧ください。
現在の管理状況、計測環境、コンテンツ、問い合わせ導線を確認し、どこから改善すべきか整理したい場合は、Webサイトの引き継ぎ・管理移管の支援内容をご確認いただくか、制作・改善についてご相談ください。