Web担当者がいないため、ホームページを更新できていない。制作会社へ依頼したいものの、何を任せればよいのか分からない。

このような場合でも、Web専任者を採用しなければ運用できないわけではありません。

社内には、ホームページの目的や優先順位を決める人と、情報を取りまとめる窓口を置く。技術的な保守、ページ更新、記事制作、アクセス解析などの実務は外部へ依頼する。この役割分担ができれば、専任者がいない会社でも運用を続けられます。

重要なのは、すべてを社内で行うことでも、制作会社へ丸ごと任せることでもありません。社内で判断すべきことと、外注できることを分けることです。

Web担当者がいない会社に必要なのは、専任者より運用体制

ホームページが放置される原因は、人手不足だけではありません。

  • 誰が更新を依頼するのか決まっていない
  • 掲載内容を誰が確認するのか分からない
  • 制作会社へ依頼できる範囲が不明
  • 管理画面やアクセス解析の権限が社内にない
  • 更新後の効果を確認していない
  • 改善に使う予算や時間を決めていない

担当者を一人決めても、判断や依頼の流れが曖昧なままでは運用は進みません。

一方、専任者がいなくても、責任者、社内窓口、外部の運用担当者という役割を決めれば、必要なときに情報を更新し、公開後の反応を見ながら改善できます。

3つの役割を決める

Web担当者がいない会社では、次の3つの役割を整理します。

1.社内責任者

ホームページの目的、予算、優先順位を決めます。

経営者や事業責任者が兼務しても問題ありません。Web制作の技術よりも、どの事業を伸ばしたいのか、どのような相談を増やしたいのかを判断できることが重要です。

2.社内窓口

各部署から掲載情報を集め、外部の制作会社へ依頼します。

社内窓口に高度なWebの知識は必要ありません。依頼中の内容、確認期限、公開された内容を把握し、必要な情報を社内から集められれば運用できます。

小規模な会社では、社内責任者と社内窓口を同じ人が担当することもできます。

3.外部の運用担当者

契約した範囲に応じて、次のような業務を担当します。

  • Webサイトの保守
  • 文章や画像の更新
  • ページの追加
  • 記事の企画・制作
  • アクセスや検索状況の確認
  • 導線やコンテンツの改善
  • 不具合の調査

外部の担当者は制作や分析を支援できますが、どの事業を優先するか、何を顧客へ伝えるかまでは会社に代わって決められません。

事業上の判断は社内に残し、専門的な実務を外部へ任せる形が基本です。

社内で行うこと

ホームページの目的を決める

最初に、ホームページへ期待する役割を決めます。

  • 新規の問い合わせを増やす
  • 営業活動の信頼材料にする
  • 採用応募を増やす
  • 来店や予約につなげる
  • 既存顧客へ情報を提供する
  • 商品やサービスを販売する

目的は一つに限定する必要はありません。ただし、何を優先するかは社内で決めておく必要があります。

目的が曖昧なまま「アクセス数を増やしたい」「記事を増やしたい」と依頼しても、事業の成果につながる施策かどうかを判断できないためです。

事業に関する情報を提供する

顧客からよく聞かれる質問、競合との違い、最近増えている相談、サービス内容の変更などは、社内にある情報です。

記事やページの文章を外注する場合でも、元になる事実や経験は社内から提供します。

Googleも、検索順位の操作を目的とした内容ではなく、利用者にとって有用で信頼できる情報の作成を推奨しています。

参考:有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成|Google検索セントラル

公開内容を確認する

外部の制作会社が作成した内容について、次の点は社内で確認します。

  • サービス内容が現在の実態と合っているか
  • 料金や契約条件に誤りがないか
  • 公開してよい実績や顧客情報か
  • 法務や業界上の表現に問題がないか
  • 問い合わせ後の対応体制が整っているか

文章として自然であっても、事業上の事実が正しいとは限りません。公開の最終判断は、内容を把握している社内担当者が行います。

契約と管理権限を把握する

ドメイン、サーバー、CMS、Google Analytics、Google Search Consoleなどの契約や管理権限は、自社でも把握できる状態にします。

外注先の個人アカウントだけで管理すると、担当者や制作会社が変わった際に引き継げない可能性があります。

Google AnalyticsやSearch Consoleでは、会社側の管理権限を維持しながら、外注先のユーザーを追加できます。

参考:

契約先や管理者が分からない場合は、設定を変更する前に現状を確認します。詳しくは、ドメイン・サーバーの管理会社が分からないときの確認方法をご確認ください。

外注できること

ホームページの運用では、専門的な知識や継続的な作業が必要な部分を外注できます。

技術的な保守

ホームページを安全に稼働させるための業務です。

  • CMSやソフトウェアの更新
  • バックアップ
  • 障害発生時の確認
  • 問い合わせフォームの動作確認
  • セキュリティ上の問題への対応
  • ドメインやサーバーの期限確認

IPAは、Webサイトを構成するCMSやソフトウェアを把握し、脆弱性対策を定期的に行うよう案内しています。また、更新によって既存の機能が動かなくなる場合があるため、事前の検証も必要です。

参考:安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条|IPA

ページや記事の更新

次のような更新も外注できます。

  • サービス内容や料金の修正
  • 実績や事例の追加
  • 採用情報の掲載
  • お知らせの更新
  • ページの追加
  • SEO・AIOを考慮した記事制作
  • 古くなった記事の修正

記事制作を依頼する場合は、本数だけでなく、どの顧客へ何を伝え、どのサービスへの相談につなげるのかを決めます。

既存記事と似た内容を増やさないよう、記事ごとの検索意図と役割を整理することも必要です。

アクセス解析と改善

Google Search Consoleでは、検索結果に表示された回数、クリック数、検索された言葉、表示されたページなどを確認できます。

Google Analyticsでは、問い合わせ完了など、事業上重要な行動をキーイベントとして計測できます。

参考:

外注先から数値を報告してもらうだけでは、改善にはつながりません。

  • どのページに課題があるのか
  • どの検索ニーズへ対応するのか
  • 何を変更するのか
  • 変更後にどの数値を確認するのか

ここまで具体化してもらうことが大切です。

保守・更新・改善は分けて依頼する

ホームページの運用を外注するときは、保守、更新、改善の違いを確認します。

保守

Webサイトを安全に稼働させるための業務です。CMSの更新、バックアップ、不具合対応などが該当します。

更新

現在の事業内容を反映する業務です。文章や画像の変更、お知らせや実績の追加などが該当します。

改善

問い合わせや採用などの成果へ近づける業務です。アクセス解析、記事制作、導線やページ構成の見直しなどが該当します。

保守契約を結んでいても、ページ更新や改善提案まで含まれているとは限りません。

契約前に、基本料金に含まれる業務、追加費用になる業務、毎月対応できる作業量を確認してください。

運用を始める5つの手順

1.現在の管理状況を確認する

利用しているドメイン、サーバー、CMS、メール、アクセス解析などを確認します。

すべて分からなくても、確認済みの情報と不明な情報を分ければ調査を始められます。

2.ホームページの目的を決める

問い合わせ、採用、来店、販売など、ホームページで優先する成果を決めます。

目的が複数ある場合は、ページごとに役割を分けます。

3.社内と外部の担当範囲を決める

誰が情報を集め、誰が公開を承認し、誰が制作や更新を行うのかを決めます。

依頼、確認、公開の流れを簡単に決めておくだけでも、更新が止まりにくくなります。

4.計測できる状態を整える

検索状況、アクセス、問い合わせなどを確認できる状態にします。

NOEMAが担当した保守引き継ぎ事例でも、管理環境の整理とあわせてGoogle Analytics、Google Search Console、XMLサイトマップを導入し、検索状況を確認できる状態を整えました。

5.小さな改善から始める

最初から全面リニューアルする必要はありません。

  • 古いサービス情報を更新する
  • 問い合わせフォームを確認する
  • 主要ページの導線を見直す
  • 検索されている内容に合わせてページを修正する
  • 顧客からよく聞かれる質問を記事にする

現在の課題に合わせて、影響の大きいものから対応します。

部分的な改善で対応するか、リニューアルするか迷う場合は、ホームページはリニューアルすべき?部分改善との判断基準も参考にしてください。

毎月確認したいこと

Web担当者がいない会社では、確認項目を増やしすぎないことも大切です。

まずは、次の内容を毎月確認します。

  • 問い合わせ件数
  • 検索結果の表示回数とクリック数
  • アクセスが多いページ
  • 更新した内容
  • 対応中の課題
  • 次に改善するページ

毎月大きな改修を行う必要はありません。

数値と顧客の反応を確認し、次に対応する内容を一つずつ決めます。確認する人と判断する時期を決めておくことが、継続的な運用につながります。

外注先を選ぶポイント

ホームページ運用の外注先は、制作実績の見た目だけでなく、次の点を確認して選びます。

  • 保守・更新・改善の違いを説明できる
  • 契約に含まれる業務が明確
  • 会社側にも管理権限を残す
  • 事業内容を確認してからページや記事を作成する
  • 数値の報告だけでなく、次の改善案を説明できる
  • 障害時の連絡方法と対応範囲が決まっている
  • 契約終了時にデータや管理情報を引き継げる

月額費用だけで比較せず、毎月依頼できる作業、追加費用が発生する条件、連絡方法、契約終了時に返却される情報まで確認します。

また、外注先からの提案を社内で判断できるよう、専門用語だけでなく、実施する理由と期待できる効果を説明してもらうことも大切です。

よくある質問

Web専任者を採用しないと運用できませんか?

必ずしも専任者を採用する必要はありません。

社内に方針を決める責任者と連絡窓口を置き、保守、更新、分析などの実務を外部へ依頼する方法があります。

社内担当者にWeb制作の知識は必要ですか?

高度な制作知識は必要ありません。

事業内容や社内の優先順位を把握し、外注先へ情報を共有して、公開内容を確認できることが重要です。

保守を依頼すれば記事やページも更新してもらえますか?

契約内容によって異なります。

技術的な保守だけを対象とする契約もあるため、ページ更新、記事制作、アクセス解析、改善提案が含まれるか確認してください。

長期間放置している場合はリニューアルが必要ですか?

すぐに全面リニューアルが必要とは限りません。

現在の事業内容との違い、技術的な状態、検索流入、問い合わせ状況を確認し、部分的な改善で対応できるか判断します。

まとめ:社内に判断を残し、実務を外注する

Web担当者がいない会社でも、社内と外部の役割を整理すればホームページを運用できます。

社内では、ホームページの目的、優先順位、掲載内容、公開の可否を判断します。

外部には、技術的な保守、ページ更新、記事制作、アクセス解析、改善の実施を依頼できます。

ただし、契約や管理権限まで外注先任せにするのではなく、自社でも現在の管理状況を確認できる状態を保つことが重要です。

まずは、誰が判断し、誰が窓口になり、外部へ何を依頼するのかを整理してください。

NOEMAでは、他社が制作・管理しているホームページの引き継ぎ、保守、更新、記事制作、アクセス解析、公開後の改善まで、必要な範囲を整理して支援しています。管理情報や依頼内容が揃っていない場合も、現在分かる状況から確認できます。