ホームページから問い合わせが来ないとき、最初から「アクセスが少ない」「SEOができていない」と判断するのは早計です。
問い合わせフォームが停止している、社名で検索してもサイトが表示されない、アクセスはあるものの見込み客が訪れていないなど、原因によって必要な対応は異なります。
まず、現在の状態を次の5段階に分けて確認します。
- 問い合わせフォームは正常に動作しているか
- 社名やサービス名の指名検索で表示されるか
- 課題を表す非指名検索から流入しているか
- 流入した検索キーワードとページ内容が合っているか
- サービスを検討し、問い合わせできる導線があるか
1.問い合わせフォームは正常に動作しているか
アクセス解析やSEOを確認する前に、問い合わせを受け取れる状態かを調べます。
フォーム画面が表示されていても、その裏側にある受付処理やメール通知が正常とは限りません。実際にテスト送信し、次の項目を確認します。
- 送信ボタンを押したあと、完了画面が表示されるか
- 送信件数や処理結果を確認できるか
- 管理者への通知メールが届くか
- 送信者への自動返信メールが届くか
- スマートフォンからも送信できるか
確認できる情報は、利用しているフォームサービスやサーバーによって異なります。
「完了画面は表示されたが通知メールが届かない」「自動返信は届いたが、管理者への通知だけ届かない」といったケースもあります。フォームの受付処理とメール配信は、分けて確認する必要があります。
フォームサービスの送信上限
外部のフォームサービスを利用している場合は、契約プランの月間送信数や容量制限を確認します。
たとえばSSGformでは、プランごとの月間送信数を超えると、それ以降の送信は処理されず、通知メールも送られません。Botや営業目的の送信も月間送信数に含まれます。
上限に達したあとに送信された内容は保存されないため、送信件数の定期的な確認とスパム対策が必要です。
確認する項目は次のとおりです。
- 現在の契約プラン
- 月間送信数と残り件数
- 上限到達の通知先
- Botや営業目的の送信件数
- CAPTCHAの設定
- 許可ホストの設定
- 禁止ワードや全角文字チェック
参考:SSGform公式FAQ
PHPやCMSの更新による不具合
WordPressなど、サーバー上でフォームを処理しているサイトでは、次の変更をきっかけに送信エラーが発生することがあります。
- サーバーのPHPバージョン変更
- WordPress本体の更新
- フォームプラグインの更新
- テーマや独自プログラムの更新
- SMTPやメール送信設定の変更
- APIキーや外部サービスの設定変更
- セキュリティ機能による通信の遮断
PHPを更新したこと自体が問題なのではなく、新しいPHPと古いテーマやプラグインの間で、互換性の問題が表面化する場合があります。
WordPress公式も、PHP更新前にバックアップと互換性の確認を行い、更新後にサイトが正常に動作するか確認するよう案内しています。
サーバーやCMSの更新後は、ページの表示確認だけでなく、フォームのテスト送信まで行います。
通知メールだけ届いていないケース
フォーム側の受付処理が成功していても、通知メールが迷惑メールへ振り分けられたり、受信側で拒否されたりすることがあります。
次の項目を確認します。
- 迷惑メールフォルダ
- 通知先メールアドレス
- フォームサービスの送信件数や処理結果
- メールサーバーの容量
- 配信エラーの記録
- SPF・DKIMなどのメール認証
- サードパーティーの送信サービスに関するDNS設定
Googleは、送信元ドメインのメール認証が適切でない場合、メールが迷惑メールに分類されたり、拒否されたりする可能性があると案内しています。
フォームの停止や通知不良は、問い合わせ機会を直接失う問題です。最後にテストした時期が分からない場合は、SEO施策より先に確認してください。
2.社名やサービス名の指名検索で表示されるか
フォームが正常なら、次に検索結果を確認します。
まずは、次のような言葉で検索します。
- 正式な会社名
- 屋号やブランド名
- 会社名と所在地
- 会社名とサービス名
- 代表者名や店舗名
このように、特定の会社やサービスを指定した検索を「指名検索」と呼びます。
正式な社名で検索しても自社サイトが見つからない場合は、SEO記事が少ないという段階ではなく、サイトが検索エンジンに正しく登録・認識されていない可能性があります。
指名検索で表示されない場合の確認項目
- Google Search Consoleに登録されているか
- トップページがインデックスされているか
- noindexが誤って設定されていないか
- robots.txtでクロールを妨げていないか
- canonicalが別のURLを指していないか
- XMLサイトマップが送信されているか
- 旧URLからのリダイレクトが正しいか
- ページ内に正式な会社名や所在地が記載されているか
- 旧サイトや重複ページが検索結果に残っていないか
Search ConsoleのURL検査では、Googleに登録されたページの状態や、登録できない理由を確認できます。
ただし、「Googleに登録されている」と表示されても、特定の検索で必ず表示されるわけではありません。
参考:Google Search Console「URL検査ツール」
noindex、canonical、リダイレクトなどの設定不備が原因であれば、比較的早く調査と修正に着手できます。ただし、修正内容が検索結果へ反映されるまでの期間は、検索エンジン側の処理によって変わります。
3.課題を表す非指名検索から流入しているか
指名検索では表示されるものの、新しい見込み客が訪れていない場合は、非指名検索への対応状況を確認します。
非指名検索とは、会社名を知らない人が、自分の課題や依頼したい内容をもとに行う検索です。
たとえば、次のような検索が該当します。
- ホームページから問い合わせが来ない
- ホームページの集客を改善したい
- 他社が制作したホームページの保守を依頼したい
- ホームページ制作会社を変更したい
- ドメインやサーバーの管理会社が分からない
- 古いホームページを改善したい
- 地域名と業種を組み合わせた検索
Search Consoleの検索パフォーマンスでは、どの検索語句でサイトが表示され、クリックされたかを確認できます。
指名検索しか確認できない場合は、すでに会社を知っている人には届いていても、新しい見込み客との接点を作れていない状態です。
この場合は、タイトルやSEO設定を一度変更するだけでは解決しません。
顧客がどのような状況で困り、何を比較し、どの言葉で検索するのかを整理したうえで、対応するサービスページや記事を設計する必要があります。
参考:Search Console「検索パフォーマンスレポート」
サービスページと記事の役割を分ける
問い合わせにつなげるためには、記事を増やすだけでなく、サービスページとの役割分担が必要です。
記事では、読者が抱えている問題や判断基準を説明します。サービスページでは、具体的な対応範囲、進め方、費用の考え方、実績などを示します。
記事だけが検索結果に表示されても、依頼内容を確認できるサービスページがなければ、相談先として検討されにくくなります。
4.流入した検索キーワードとページ内容が合っているか
検索流入があっても、それが問い合わせにつながる訪問とは限りません。
たとえば、技術的な用語の解説記事にエンジニアや制作者が集まっていても、Webサイトの改善を発注したい人からの問い合わせにはつながりにくいでしょう。
Search ConsoleとGoogle Analyticsを使い、次の組み合わせを確認します。
- どの検索キーワードから訪れたか
- 最初にどのページを閲覧したか
- 関連するサービスページへ移動したか
- 問い合わせボタンを押したか
- フォームの入力を開始したか
- 送信まで完了したか
Google Analyticsでは、フォーム送信など、事業上重要な行動をキーイベントとして設定できます。
参考:Google アナリティクス「キーイベントを測定する方法」
流入キーワードを3種類に分ける
検索キーワードは、検索した人の目的に応じて、次の3種類に分けて考えます。
情報収集を目的とした検索
方法や用語を調べている段階です。
- SEOとは
- ホームページのアクセス数を見る方法
- WordPressの更新方法
すぐに問い合わせる可能性は高くありませんが、関連する課題やサービスを知ってもらう入口になります。
比較・検討を目的とした検索
依頼方法や選択肢を比較している段階です。
- ホームページ保守の費用
- 制作会社を変更する方法
- リニューアルと部分改修の違い
サービスページや事例への導線が重要になります。
依頼を目的とした検索
相談先や依頼先を探している段階です。
- ホームページ保守を依頼したい
- Webサイト改善会社
- ホームページ制作会社と地域名を組み合わせた検索
このような検索から訪問されているのに問い合わせがない場合は、サービス内容、実績、費用、運営者情報、問い合わせ導線を優先して見直します。
検索流入の総数だけでなく、どの段階の人が訪れているかを確認することが重要です。
5.サービスを検討し、問い合わせできる導線があるか
発注を検討している人が訪れているのに問い合わせがない場合は、サービスページとサイト内の導線を確認します。
少なくとも、次の情報が必要です。
- 誰の、どのような課題に対応するのか
- 具体的に何を依頼できるのか
- 依頼後にどのような状態を目指すのか
- 対応できる範囲と対応できない範囲
- 制作や支援の進め方
- 費用または見積もりの考え方
- 実績や事例
- 運営者・会社情報
- 問い合わせ後の流れ
「高品質なホームページを制作します」「集客を支援します」といった抽象的な説明だけでは、自社の課題を相談できる相手か判断できません。
読者が発注前に知りたい情報を具体的に示し、記事や事例から関連するサービスページへ移動できるようにします。
問い合わせフォームの使いやすさも確認する
フォーム自体が動作していても、入力の負担や不安が問い合わせを妨げることがあります。
次の項目を確認します。
- 問い合わせボタンを見つけやすいか
- 入力項目が必要以上に多くないか
- 必須項目が明確か
- 入力例が表示されているか
- エラーの場所と修正方法が分かるか
- スマートフォンから操作しやすいか
- 送信後の流れが説明されているか
- プライバシーポリシーを確認できるか
W3Cのフォームガイドでも、入力項目を必要なものに絞り、ラベルや入力方法、エラー内容を明確に示すことが推奨されています。
改善は「止まっている場所」から始める
ホームページから問い合わせが来ないときは、記事を増やす、広告を出す、デザインを変更するといった施策を先に決めるべきではありません。
優先順位は次のように考えます。
- フォームと通知の不具合を直す
- 指名検索で表示される状態を整える
- 非指名検索に対応するページを設計する
- 検索キーワードとコンテンツのずれを直す
- サービスページと問い合わせ導線を改善する
フォームが停止している場合にSEO記事を増やしても、問い合わせは受け取れません。反対に、フォームが正常で検索流入もある場合は、SEOより先にサービスページや導線を改善した方がよいこともあります。
原因を切り分けることで、必要なのが技術修正、SEO、コンテンツ制作、導線改善、リニューアルのどれなのかを判断しやすくなります。
サイトの管理会社や契約状況が分からない場合は、他社が制作したホームページでも保守を依頼できる?も参考にしてください。
指名検索にも表示されない、フォームが動いているか分からない、検索流入はあるが問い合わせにつながらないなど、原因を特定できない場合は、現在の状況を確認したうえで改善の優先順位を整理します。