ホームページを引き継ごうとしたとき、ドメインやサーバーをどこで契約しているのか分からないことがあります。制作会社や以前の担当者と連絡が取れず、ログイン情報も残っていない場合は、何から確認すべきか判断しにくいものです。

ただし、管理会社が分からない状態でネームサーバーやDNSレコードを変更したり、既存の契約を解約したりするのは危険です。Webサイトだけでなく、同じドメインを使うメールまで停止する可能性があります。

この記事では、社内に残る情報と公式の登録情報を使って管理先を確認し、Webサイトを安全に引き継ぐための順序を解説します。公開情報だけでは確認できない項目については、断定せず「確認できない情報」として扱います。

最初に確認したい結論

ドメインやサーバーの管理会社が分からない場合は、次の順序で確認します。

  1. 請求書、決済履歴、メール、契約書など、社内に残っている情報を探す
  2. ドメイン登録情報やDNS設定から、関係する事業者の候補を確認する
  3. 候補となる事業者へ、契約者確認とアカウント復旧の方法を問い合わせる
  4. 現在の設定とデータを保存してから、権限追加や移管を進める
  5. 引き継ぎ後の管理者、更新期限、復旧方法を一覧化する

重要:ネームサーバー、IPアドレス、Webサイトの表示内容から分かるのは、あくまで管理先の候補です。契約者、支払者、ログインID、パスワードまで公開情報から確認することはできません。

ドメイン、DNS、サーバー、メール、CMSは別々に考える

「ホームページの管理会社」と一括りにされがちですが、実際には複数の契約と管理画面で構成されていることがあります。

  • ドメイン:example.jpのようなWebサイトの住所。登録者、更新期限、管理事業者を確認します。
  • DNS:ドメインをWebサーバーやメールサーバーへ接続する設定。ネームサーバーや各種DNSレコードを確認します。
  • Webサーバー:サイトのファイルやデータベースを置く環境。レンタルサーバー、クラウド、ホスティングサービスなどがあります。
  • メール:同じドメインのメールを送受信する環境。Webサーバーとは別会社で運用されている場合があります。
  • CMS・制作サービス:WordPress、STUDIO、ヘッドレスCMSなど、Webサイトを更新するための仕組みです。

一つの事業者がまとめて提供していることもあれば、すべて別の事業者で契約していることもあります。まずは項目を分け、「確認済み」「候補」「不明」の3段階で整理すると、推測と事実が混ざりません。

公開情報を調べる前に、社内の契約情報を探す

最も確実な手掛かりは、社内に残る契約と支払いの記録です。技術的な調査より先に、次の情報を確認します。

  • 制作会社、サーバー会社、ドメイン事業者から届いた請求書や見積書
  • 法人カード、銀行口座、経費精算に残る毎月・毎年の決済
  • 「ドメイン」「サーバー」「更新」「契約」「請求」「認証コード」などを含むメール
  • 契約書、発注書、納品書、運用マニュアル、アカウント一覧
  • 会社で管理しているパスワードマネージャーや共有アカウント
  • 以前の担当者、総務、経理、情報システム部門が保管している情報

検索するときは、Webサイトのドメイン名や会社名に加え、カード明細に記載された決済名も手掛かりになります。制作会社が契約を代行している場合、サーバー会社ではなく制作会社名で請求されていることもあります。

見つかった情報は、契約名義、契約先、ログインURL、登録メールアドレス、更新期限、支払方法、社内担当者に分けて記録します。パスワードそのものを通常のメールや共有資料へ記載するのではなく、会社で管理する安全な方法で共有してください。

ドメインの管理事業者を確認する方法

「.jp」のドメインを確認する場合

「.jp」「.co.jp」などのJPドメイン名は、JPRSが提供するJPRS WHOISで登録情報を確認できます。

ただし、2026年8月13日時点では、JPRS WHOISに管理指定事業者名は表示されません。

JPRSの案内では、管理指定事業者が不明な場合、ドメイン名の登録者または連絡窓口の担当者がJPRSへ問い合わせ、本人確認ができた場合に管理指定事業者を案内するとされています。詳しくはJPRS「JPRS WHOISで確認できること」を参照してください。

JPRSでは、RDAPの検索結果に管理指定事業者名を表示することが検討されていますが、現時点では検討中です。将来仕様が変わる可能性があるため、実際に確認するときはJPRSの最新案内を確認してください。

「.com」「.net」「.org」などを確認する場合

一般分野別トップレベルドメイン(gTLD)は、ICANN Lookupで登録情報を確認できます。

ICANNは、2025年1月28日からRDAPをgTLD登録情報の正式な参照元としています。

検索結果では、管理レジストラ、登録日、更新日、ネームサーバーなどを確認できる場合があります。一方、登録者の氏名や連絡先は非公開になっていることがあります。また、表示されたレジストラと、実際に料金を支払っている販売代理店やサービス名が異なる場合もあります。

そのため、ICANN Lookupの結果だけで「この会社と直接契約している」とは断定できません。表示されたレジストラを手掛かりに、社内の請求記録やメールを再確認し、正式な窓口を特定します。

RDAPへの移行については、ICANNの公式案内で確認できます。

ネームサーバーの会社とドメイン契約先は同じとは限らない

ドメイン登録情報に表示されるネームサーバーは、DNSを運用している環境を示す手掛かりです。しかし、ネームサーバーの運営会社が、ドメインの契約先やWebサーバーの契約先と一致するとは限りません。

例えば、ドメインはA社、DNSはB社、WebサーバーはC社、メールはD社という構成もあります。ネームサーバーだけを見て管理会社を決めつけず、契約情報と各サービスの管理画面を照合する必要があります。

サーバーの管理会社を確認する方法

Webサイトが現在も表示されている場合、DNSのA・AAAA・CNAMEレコードや接続先のIPアドレスから、利用しているサービスの候補が分かることがあります。

ただし、これらの情報だけで契約中のサーバー会社を確定することはできません。

CDNやプロキシサービスを利用していると、公開されている接続先と実際にデータを保管しているサーバーが異なります。共用サーバーやクラウド環境では、IPアドレスの管理組織と契約窓口が異なることもあります。

次の情報を組み合わせて確認します。

  • サーバー利用料の請求書、カード明細、更新案内メール
  • サーバーやホスティングサービスの管理画面
  • 制作会社から受領した仕様書、納品資料、接続情報
  • ソースコードの保管先、デプロイ設定、環境変数の管理先
  • DNSレコード、Webサイトの応答情報、SSL証明書の設定

候補となる事業者が見つかってもログインできない場合は、その事業者の公式窓口からアカウント復旧を依頼します。

必要な本人確認書類、契約情報、手続き方法は事業者ごとに異なるため、一律には示せません。第三者が用意した連絡先ではなく、必ず事業者の公式サイトから問い合わせ先を確認してください。

メール環境はWebサイトと分けて確認する

会社のメールアドレスにWebサイトと同じドメインを使っている場合、DNSのMXレコードがメールの配送先を知る手掛かりになります。

ただし、MXレコードから分かるのは配送先の候補であり、契約名義、管理者、ログイン情報までは確認できません。

引き継ぎ前に、次の項目を整理します。

  • 使用中のメールアドレスと共有アドレス
  • 転送設定、メーリングリスト、エイリアス
  • 現在のメール管理者と管理画面
  • MX、SPF、DKIM、DMARCなどのDNS設定
  • 各端末の受信方式、保存状況、移行が必要な過去メール

現在のDNS設定を保存せずにネームサーバーやMXレコードを変更すると、メールが届かなくなる可能性があります。Webサイトの移管だけを予定している場合でも、先にメール環境への影響を確認してください。

WordPressや制作サービスの管理者が分からない場合

WordPressのログイン画面が見つかっても、管理者アカウントやサーバー契約を確認できるとは限りません。

登録メールアドレスを自社で管理している場合は、WordPress標準のパスワード再設定を利用できます。WordPressにはほかの再設定方法もありますが、サーバー、データベース、FTPなどの権限が必要です。

詳しくはWordPress.orgの公式手順を確認してください。

サーバーやデータベースを直接操作する方法は、既存データを損なう可能性があります。実施前にバックアップを取得し、権限と影響範囲を確認できる担当者が対応してください。

また、WordPressの「ツール」から作成できるエクスポートファイルには、投稿、固定ページ、カスタム投稿、コメント、カスタムフィールド、カテゴリー、タグ、ユーザーなどが含まれます。

ただし、サーバー上の全ファイル、テーマ、プラグイン、データベース、環境設定を含む完全なバックアップとは別物です。対象範囲は、WordPress.orgのエクスポート機能の説明で確認できます。

STUDIOや各種CMS、ホスティング一体型サービスも、ワークスペースの所有権や契約者の復旧方法がサービスごとに異なります。

共通の手続きはないため、利用サービスを特定したうえで、そのサービスの最新の公式サポートへ確認する必要があります。

Google AnalyticsとSearch Consoleの権限も確認する

Webサイト本体を引き継げても、Google AnalyticsやGoogle Search Consoleの権限が制作会社のアカウントだけに残っていると、過去の計測データや検索状況を確認できないことがあります。

Google Analyticsでは、アカウントまたはプロパティの管理者がユーザーを追加できます。自社のGoogleアカウントへ必要な権限を付与し、実際にアクセスできることを確認してから旧担当者の権限を整理します。

手順はGoogle Analyticsの公式ヘルプで確認できます。

Search Consoleでは、所有者のみが別のユーザーへ権限を付与できます。また、確認済み所有者の削除には、HTMLファイルやHTMLタグなどの所有権確認トークンの扱いも関係します。

先に自社の所有権を確認し、アクセスできる状態を作ってから整理してください。詳しくはSearch Consoleの所有者・ユーザー・権限の説明を参照してください。

残っている権限ごとの対応

ドメインの管理画面には入れるが、サーバーが分からない

ドメインの更新期限、登録名義、ネームサーバー、DNSレコードを保存します。Webサイトやメールの接続先を調査し、サーバーの候補を確認します。

接続先が分かる前にDNSを変更しないことが重要です。

サーバーには入れるが、ドメインの管理先が分からない

先にWebサイトのファイル、データベース、アップロードデータ、設定情報を保全します。

並行して、JPRSまたはICANNの情報と社内資料からドメインの管理先を調べ、契約者として復旧手続きを進めます。

WordPressには入れるが、サーバーには入れない

記事や固定ページなど、管理画面から取得できる情報を保全します。

ただし、WordPressの管理画面だけでは完全なバックアップやサーバー移管ができない場合があります。テーマ、プラグイン、メディア、データベース、独自設定の取得可否を別途確認します。

Google AnalyticsやSearch Consoleにしか入れない

計測・検索データへのアクセス権であり、ドメインやサーバーの契約権限ではありません。

利用中のアカウントとプロパティを記録しつつ、ドメインとサーバーは別の手順で調査します。

どの管理画面にも入れない

公開情報で候補を整理し、請求記録や契約書から契約者を確認したうえで、各事業者の公式な本人確認・アカウント復旧手続きを利用します。

復旧できるかどうかは、登録名義、残っている証明資料、各事業者の規定によって異なるため、調査前に断定することはできません。

安全に引き継ぐための8つの手順

1. 変更作業を止め、現在の状態を記録する

管理先が分からない段階では、契約の解約、ネームサーバーの変更、CMSの更新を急ぎません。ドメイン登録情報、DNSレコード、Webサイトの表示、メールの利用状況を記録します。

2. 社内情報を確認する

契約書、請求書、決済履歴、メール、納品資料、パスワード管理ツールを確認し、元担当者や関係部署へ聞き取ります。

3. 公開情報から候補を整理する

JPRS WHOISやICANN Lookup、DNS情報を確認します。ここで得た情報は「確定」ではなく「候補」として記録します。

4. 契約者としてアカウントを復旧する

候補となる事業者の公式窓口へ問い合わせます。必要書類と復旧可否は事業者ごとに異なるため、案内に従って確認します。

5. バックアップと設定一覧を作る

サイトデータ、データベース、画像、ソースコード、DNSレコード、メール設定、外部サービスの連携を保存します。

取得できない項目は不明のまま残し、推測で補完しません。

6. 新しい管理者の権限を追加する

可能なサービスでは、既存アカウントをそのまま共有するのではなく、自社と新しい担当者のアカウントを追加します。

必要最小限の権限を付与し、多要素認証と復旧手段を設定します。

7. 影響範囲を分けて移管する

ドメイン、DNS、Webサーバー、メール、CMSを一度に変更せず、依存関係と切り戻し方法を確認して順番に進めます。

変更後はWeb表示、フォーム送信、メール送受信、SSL、計測を確認します。

8. 管理台帳を残す

契約先、名義、管理者、更新期限、支払方法、権限、復旧手段を一覧化します。

担当者の退職や制作会社の変更があっても、自社で状況を把握できる状態にします。

新しい制作会社へ共有したい情報

すべて揃っていなくても、分かる範囲から共有すれば調査を始められます。

  • 対象となるWebサイトのURLと、使用中のメールドメイン
  • 現在困っていることと、いつから発生しているか
  • 連絡可能な旧制作会社・元担当者の情報
  • 手元にある契約書、請求書、メール、管理画面の情報
  • 確認できているログイン権限と、確認できない権限
  • 更新期限や契約終了日など、期限が分かる情報
  • Webサイト、フォーム、メールで止められない業務
  • 希望する引き継ぎ後の管理体制と更新方法

パスワードや認証コードは、問い合わせフォームや通常のメール本文へ直接記載せず、依頼先が案内する安全な共有方法を利用してください。

引き継ぎ前に避けたいこと

  • ネームサーバー名だけでドメイン、サーバー、メールの契約先を断定する
  • 現在のDNSレコードを保存せずにネームサーバーを変更する
  • データと設定を取得する前に、旧契約を解約する
  • バックアップを取らずにWordPress、テーマ、プラグインを更新する
  • 複数の環境を同時に変更し、問題発生時の原因を追えなくする
  • 新しい管理者がアクセスできることを確認する前に、旧担当者を削除する
  • 契約名義や取得経緯が不明な項目を、推測で「自社管理」と記録する

NOEMAで対応した引き継ぎ事例

NOEMAでは、ドメイン、メール、サーバーの管理情報が十分に整理されていない状態から、契約・設定状況を調査し、各環境の移管を支援した事例があります。

この事例では、Google Analytics、Google Search Console、XMLサイトマップも未導入だったため、引き継ぎ後にアクセス状況と検索状況を確認できる環境を整備しました。

対応内容は他社制作サイトの保守引き継ぎ事例で紹介しています。

よくある質問

WebサイトのURLだけで管理会社を特定できますか?

候補を調べることはできますが、URLだけで契約会社、契約名義、ログイン情報まで確定することはできません。

JPRSやICANNの登録情報、DNS、社内の契約・支払い記録を組み合わせて確認します。

ログイン情報が一つもなくても引き継ぎできますか?

調査は始められます。

ただし、既存環境をそのまま移管できるかは、登録名義、本人確認に使える資料、データへのアクセス、各事業者の手続きによって異なります。確認前に「必ず引き継げる」とは断定できません。

制作会社と連絡が取れない場合、Webサイトのデータは取り戻せますか?

サーバー、CMS、ソースコード、バックアップのどれにアクセスできるかで変わります。

公開中のページを閲覧できることと、元の制作データやデータベースを取得できることは同じではありません。残っている権限と契約関係を確認して判断します。

ドメインを移管するとメールも止まりますか?

移管方法と現在のDNS構成によるため、一律には言えません。

メールの配送先はDNS設定と関係するため、現在のネームサーバー、MXレコード、メール契約を確認し、影響を判断してから手続きを進めます。

管理会社の確認にはどのくらいの期間がかかりますか?

社内に残る資料、登録名義、本人確認、事業者からの回答、必要な移管手続きによって異なります。

情報が揃う前に一律の期間を提示することはできません。更新期限や契約終了日が近い場合は、その日付を最初に伝えてください。

分からない情報を、分からないまま放置しない

ドメインやサーバーの管理会社が分からないときは、公開情報だけで結論を出すのではなく、社内資料、契約者確認、各サービスの公式手続きを順番に進めることが重要です。

引き継ぎの目的は、単に制作会社を変更することではありません。自社が契約と権限を把握し、Webサイトとメールを止めずに、更新・改善を続けられる状態へ整えることです。

NOEMAでは、他社が制作・管理しているWebサイトについて、現在分かる情報から管理環境を確認し、ドメイン、サーバー、メール、CMSの整理と移管を支援しています。

管理情報が揃っていない場合も、Webサイト引き継ぎ・管理移管の支援内容をご確認のうえ、現在の状況をご相談ください

参考にした公式情報

ドメイン、サーバー、CMS、Google各サービスの仕様や手続きは変更される場合があります。実際の手続きでは、各事業者の最新の公式案内を確認してください。

契約上・法律上の争いがある場合は、本記事だけで判断せず、契約書を確認のうえ弁護士などの専門家へ相談してください。